【暗騒音の噺2】そこんところ、なんて言う?

【暗騒音の噺:1】からの続き)


きさ:
…んで、こないだ話したクロックの話しは
   普通のAudio屋さんとか
   普通のマニアの人達がこだわってることは、
   「造幣局の1mmの中にヒゲが何本描けるか」
   っていうのを競い合ってるのと同じだと思ってる。
   無駄に「精度」を競い合ってるだけ。
 
   なんぼ精度を高めても、
   千円は千円。
   その千円が、
   意味のある千円なのか、
   良い千円なのか、悪い千円なのか、…色々あるよ、と。
 
   まだ調べてへんからわからへんけど、
   ひょっとしたら
   あそこの銀行から出した千円は
   軽いからすぐ無くなるけど
   あっちの銀行から出した千円は
   値打ちがあるから「ミ」になるねん。
 
   …ていうようなことが、あるかも知れへん。
 
つる:…あるかもですね。
 
きさ:音楽にも、まさにそれと同じ事が言えるわけ。
 
つる:あああああ………
 
きさ:………で、「それ」ってなんて言うの?
   質、じゃぁない、やろ?
 
つる:モノの質…
   音っていう音波の質…
   物質としての質じゃなくて…
   「意味」の質ですよね。
 
きさ:…それは何やろ?
   ずっと考えてるねんけど、
   当てはまる言葉が無いんよ。
 
   「値打ち」って言うのかな?
   「千円の値打ちがある」とか
   「値打ちがない」とかの。
 
つる:…う〜ん…(苦笑)
   ………そういう言い方も、できますよね…
 
   でも、その「差違そのもの」を指す言葉は…
   ……………ない、ような………
 
きさ:ないねん。
   思いうかばへん。
   でも「それ」を言おうとしてンねん。
 
つる:Audioで音の話しをしてても
   Lifeで石けんの話ししてても
   上耳噺で上からきいた話ししてても、
   社内で映画や食べ物の話しをしてても…
 
   …どこでなんの話しをしても辿り着くのは
   「それ」ですね(苦笑)
 
きさ:色んな事が、そこに集約してンねや。
   新しい「なにか」
   …それは価値なのか何なのかわからんけど…
   …つまり「値打ち」やな。
 
   それをもっと判りやすい形で伝えたいねん。
 
つる:意味をもう一回みつけなおす、って感じですね。
   ほんとうに欲しいモノを…
 
きさ:お金の値打ち、
   石けんの値打ち、
   音楽の値打ち………
 
   ほんまに値打ちのある音楽聴かんと、勿体ないやん?
   ほんまに値打ちのある石けん使わな、損やん?
 
   その「損」は、
   500円の石けんが損で
   100円の石けんが得っていう
   金額の損得じゃないねん。
 
   使うこと自身が損得に関わってくる
   なにか「値打ち」の世界に入ってくるねん。
 
   それって積み重ねていったら…怖いで?
   「人生の値打ち」に関わってくるもん。
 
つる:「値打ちのない」ものを使い続けることで
   起きる無駄な問題…
   本来は味あわずにすんだ物事…
   本来はしなくていい苦労をしたりとか…
 
きさ:無駄に無駄なことをしてる。
 
つる:「値打ちのある」音楽のから派生する
   感動や喜び…それが人生に与える影響は測れませんし…
   それこそ積み重ね…ですね……
 
きさ:つまるところ、
   「あんたの人生意味あるの?」
   っていうことに、どうしてもなってくるやん?
 
つる:(頷)
 
きさ:意味ないの、嫌やん?
 
つる:ヤですよ!(握り拳)
   ジューシィに、行きたいです!(笑)
 
   …なんて言うかな…
   そのクロックの精度に必要以上にこだわる、っていうのと
   インターネットとか…ツイッターとかで誰かをけなす人と
   ちょっと…共通のものを感じます。
 
きさ:うん。
 
つる:というのは…
   言葉の端っこや上辺に囚われてて、
   その奥が見えてない感じがね…しちゃう。
 
きさ:ああ…(苦笑)
 
つる:…例えその奥を推測してたとしても、
   それは所詮推測でしかなくて、
   貴方と私が指す同じ言葉は
   違うモノを指しているかもしれない
   っていう事を考えてなかったり。
 
   その言葉に「自分が知る意味」しか読み取れずに、
   自分の知らないことが含まれてるかもしれない
   って欠片も考えてなかったり。
 
きさ:うん。
 
つる:話しの全体が指すモノじゃなくて、
   重箱の隅にある言葉の尻尾だけしか
   掴まえてなかったり。
 
   そんな風になんだか…
   言葉にする事で、
   言葉を使うことで
   逆に頭が言葉に縛られちゃってる…
 
   そういう人が、居るような………
 
きさ:まぁねぇ(苦笑)
 
つる:まぁ、私も「言葉に縛られて」
   よくこけてたりしますけども(苦笑)
 
きさ:(爆笑)
 
 
(【暗騒音の噺:3】に続く)