■GE3貼付隊突撃
我が家のMcintoshXRT-290は既に一昨年SIMPSONの渡辺さんによってトルクマネージメントの調整がされており、私としてはできるだけ手 を尽くしたつもりではいますが、得意なベルカント唱法意外の曲に対しては汎用性に乏しく、殆ど聴かずじまいでした。そこで下取りに出そうかとも思いました が、イチカバチカGE3張付け隊にお願いしてみる事にしました。
トルクマネージメントの調整とは、簡単に言うと各スピーカーの止め付けビスのトルクを調整して理想の音に近づけるメソッドです。貼付け隊はこのメソッドとは方向が全く異なります。つまり各ユニットの特性をできるだけ揃えるのではなく、各ユニットに変化を持たせるのです。
こうしたGE3貼付け隊には渡辺さんも日頃から強い関心を寄せており、当日、調整に立ち会う事となりました。渡辺さんは主にスタジオで音響調整を行う凄耳のプロです。
一昨年に行った渡辺さんのチューニングは、トルク調整以外にElectro Voice XEQ-3 のチャンネルディバイダーの低域、中域、高域の各ボリュームの調整もしており、その時の各ツマミの位置はおよそ中間位を指していました。しかしその後に私 が追加した要石やストーンヒーラー等によって私が各つまみはいつの間にか最大になってしまったので、再度、GE3のチューンに取り掛かる前に、渡辺さんに 確認の意味で再調整して貰いました。
渡辺さんは、各帯域の能力を最大に伸ばす様に調整した結果、低域と中域のつまみは最大に、高域は僅かに絞った結果となりました。これはやはりチャンネルディバイダーの各帯域のノイズが要石やストーンヒーラー等によって大幅に抑えられている事を裏付けています。
黒アゲハ、ヒチリキ、ケブタを貼り終わり、全ての音が出揃いましたが、どうも定位が定まりません。そこで、スピーカーケーブルの中域をCardus Golden5から「パワー蛇」に変更しました。途端に楽器の位置がしっかりと現れました。ここで渡辺さんが「このケーブルは左右のエネルギーのバランス に違いがあるので、左右交換した方が良い。」との提案があり、交換してみるとなるほどシックリ馴染みました。ケーブルの端末付近に付けられた陶器の持つエ ネルギーバランスをスピーカーのエネルギーバランスと合わせたのです。後はエージングを待つのみとなり、作業を終了しました。
■調整
貼付隊の突撃日から18日目に再び凄耳の渡辺さんにエージングの成果を確認してもらいました。
エージングには、発熱の大きなアンプを使って18日間もモーツァルトを掛け続けたので、恐らく今月の電気代は10万円を越えている筈です。
最初に聴いた「イーグルス ホテルカリフォルニア」の最初のバスドラは壁を揺らす程の大きいものですが、出てきた音は、小さな鼓を打っている様に聞こえました。
そこで一番下のウーファーの黒アゲハを剥がして見る事にしました。
すると突然、空間がパーッと開けたのです。それは低域ばかりでなく高域の音像に多大な影響を与えていた事に気付きました。更に音の良くなる方向を追い求め ながら、残された3つのウーファーについても一つ一つ耳で確認しながら黒アゲハを剥がしていきました。Midスピーカーついても同様に、一つ飛びに剥がし ていき、結局アゲハはバランスが良い7箇所となりました。
黒アゲハは、コーン紙に荷物を背負わせる事になるので、コーンの運動量が変化を起します。調整にはやはりカットアンドトライが必要だと思いました。黒アゲ ハを剥がす時にコーン紙の表面の薄皮がアゲハの糊と一緒に剥がされ、ささくれ立ちましたが、これが却ってケブタ効果を生みだしている様に見えました。
■生まれ変わった躍動感のある音
McintoshXRT -290は各ユニットから発せられる点音源の伝達速度の違いによる位相のずれを無くす為に、縦に同一スピーカーが沢山並べられています。音波が平面として 聴き手に押し寄せてくるので、座っても立っても同一の音像が目の前に形成される様に設計されています。
エージング後の調整では、片側MIDスピーカー12個の内、7個がアゲハ付きとなりました。
アゲハの貼付によってユニット毎のコーンの質量が異なったので、音の異なる楽器が同時に鳴っている様な違和感は僅かにありますが、このスピーカーの足りな かった音域がうまくカバーされたので、全体的として音のバランスが整い、オリジナルからは得られなかった躍動感を得る事ができました。「キースジャレット ケルンコンサート」に於いては、片側24個のツィーターに張られたケブタによってピアノの高域成分を巧みに空気中に拡散し、又、要所に貼られた篳篥は超 高域の共鳴により倍音成分を生み出す事で、非常に自然で澄み渡る空間へと誘いました。GE3貼付隊及び渡辺さんに深く感謝申し上げます。
■N化ACケーブル試作品の試聴〔青木の感想〕
D-PAT01の電源ケーブルをリファレンスのSST-15と比較してみました。
SST-15は、あるベースの上に音像が正しく積み重ねられる様であるが、このベースとなる部分に独特の癖がありました。
N化ACケーブル試作品には癖を持たないというよりは、定まらない為音像が崩れる傾向にある様に思いました。