イベントレポート:2007/5/25 Ge3な夕べ@エンポケ

レポート by 今井明

今回は久しぶりに六時からの参加で二時間たっぷりイベントを楽しむ事が出来た。いつもは後半一時間のみでも充分に意味があると思って仕事帰りに参加しているが、やはり通して色々聴くとそれだけ得るものもあると感じた。
30分前に会場に着くとすでにきささんが来られていて準備を済まされていた。今回の製品は馴染むまでに時間がかかるので、先にセットした状態を聞いてもらってから外してその違いを聴いてもらう事にしたらしい。

今回の出し物は前回から進化した強力ルームチューン用製品と突然思いついたケーブルという内容だった。まずルームチューン用製品は丸を8つとケブタを組み合わせたもので、部屋の壁を聴いている人から仮想的に5m遠ざけるように働くコンセプトで作ったとのこと。とても広い倉庫のような場所で講演をする人から壁の反射をなんとかしてほしいという依頼から思いついたもので、すでにその場所で試されたらしく、メッシュのケースに入れられてGe3製品としては綺麗な外装になっていた。会場ではまず左右の壁に一つずつ設置されているところから外して比較したのだが、音場がとても狭くなりスピーカーの幅の間に箱庭的な音が聞こえるだけになってしまった。Ge3では元々ルームチューンにはあまり積極的ではなく、きささんはよく「カラスはどこで歌ってもカラスだ」と言われていたが自分でこれを作ってみて聴いたら、やはりやってみたら思ったより影響があると感じたそうだ。カラスも会議室みたいな場所よりはホールの方が気持ち良く歌えるようなものだろうか。設置するとスピーカーからの音離れが良く綺麗に広がってくれるのが良くわかる、端的に音が良くなるというよりは気持ちよく音楽が聴ける場が出来る変化で設置場所もそれほど厳密にならなくても良いらしいので使い勝手の良い製品と思った。

続いて新しいケーブルの試聴、新しいといっても銀蛇N化に全周ケブタを巻いたものなのだが、ケブタの良いところを選別して毛の方向を揃えるなどの手間がかかっているらしい。外観はとてもケーブルとは思えない(笑)ものなのだが触っていても何だか気持ちよく不思議な感じだ、名前は「狛蛇」になるそうだ。まずはディジタルケーブルとして試聴、個人的にはディジタルケーブルでそこまで音が変わる事には懐疑的なのだが、比較したケーブルがあまり良いものではなかった事を差し引いても全てにおいて圧倒的な違いがあり、驚くを超えて呆れて笑うしかなかった。とっさには言葉が思いつかなかったほど音楽の構成すべてが違って聞こえて、それまでのケーブルでは安っぽく作り物のような音に感じて長く聴く気がしなくなってしまった。落ち着いて分析するなら、空気の濃さというか音楽の雰囲気をとても良く伝えてくれるのが一番に感じる、これぞまさにGe3のいうウブゲのかたまりのような音だろう。通常ならスピーカーをフルチューンして出てくるような雰囲気がケーブルの交換だけでこうも出てくるとは正直信じられなかった。音楽が伝えたいエッセンスのようなものを凝縮して届けてくるのでうっかりするとそのまま時間を忘れて音楽を聴き続けてしまうかもしれない。こんな音で映画を見た日には本当にその世界にはまりこんでしまうだろう。イベントの後半で二本使ってアナログケーブルとして使った場合も同様の変化で、つないでからどんどん音が変わっていくのが良くわかった。

さらに試作として別仕様のルームチューン製品も試聴した、これはタイルと丸を組み合わせたもので試作段階の名前では「ヒビ」と呼ばれているものらしい。八丸繭の響きが綺麗に広がる再生とはかなり違う音の方向で、スタジオモニター的なダイレクトで乾いた音となり好みで意見はわかれそうだ。こちらはまだこれから改良が続くということでまた楽しみにしたい製品が増えた。

Ge3の製品は自分の好みに合うものが多いがそれにしても今回の狛蛇は出色の出来で、同社製品で言えば大地に匹敵する強力さと言っていいだろう。オーディオで年に一回か二回、本当に驚く音が今回聴けた事は喜びといっても良い。あまりベタ褒めはしたくないののが本音だが今回は全面降参である。すべて手作りの受注生産品ということで気軽に導入出来るものではないだろうが、いずれ自宅で使ってみたいと本気で思った次第。この音は是非一度は体験すべきである。

今井明(いまいあきら)★プロフィール
音楽の好みはクラシックからジャズ、洋楽邦楽も気分によるが、中心は洋楽やジャズの女性ヴォーカルなど。その場で演奏しているような臨場感を求めて既製品に飽き足らず自作をしながらオーディオと音楽を楽しんでいます。